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男系(父系)継承という皇位継承の最重要原則を守ることにつながる内容を評価したい。
政府の有識者会議が報告書を岸田文雄首相に提出した。首相は「バランスの取れた議論をしていただいた」と述べ、国会に報告するとした。
政府と国会は有識者会議の結論を尊重し、皇室典範改正など、男系継承に基づく皇統を支える手立てを速やかに講じていってほしい。
報告書はまず、「今(きん)上(じょう)陛下から秋篠宮皇嗣殿下、次世代の悠仁親王殿下という皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない」と明記した。「皇位継承の歴史や伝統の重みについて改めて認識を深め」たからだ。第126代の今上陛下まで例外なく貫かれてきた男系継承の原則を重んじた判断だ。
継承順や資格を無理に変えて今の女性皇族方が即位されることはありえないという考えだ。国論が大混乱に陥るのを避け、立憲君主である天皇の権威と正統性を守るため当然である。女性皇族と皇統に属さない民間人男性の子が即位する「女系天皇」によって皇統が断絶し、別の王朝が生まれる恐れも回避される。
有識者会議は機が熟していないとして悠仁親王殿下の次代以降の継承策の判断は避けた。物足りなさは残るが、喫緊の課題としてまとめた皇族数確保策が、安定的な男系継承に資する点が重要だ。
今のままでは、女性皇族方が結婚されて民間人となり、悠仁親王殿下のご即位時に若い皇族がいなくなる可能性がある。
占領下の昭和22年に皇籍を離れた旧11宮家の子孫である男系男子に養子縁組で皇族になってもらう案と、女性皇族が結婚後も皇籍を保持する案の2案を柱とし、それで足りなければ旧宮家の男系男子が直接皇族になる案を挙げた。
女性皇族の夫や子に皇族の身分を与えないとしたのは極めて妥当だ。男系継承で守られてきた皇統を守る上で絶対に欠かせない。
有識者会議は、養子となった男性皇族自身は皇位継承資格を持たないとする考えを示した。皇統に属する男性皇族なのだから再検討の余地はあるが、少なくとも、生まれながらの皇族となる子の世代が継承資格を持つのは自然だ。
天皇は「国安かれ、民安かれ」と祈るご存在だ。報告書が求めたように「静(せい)謐(ひつ)な環境」の中で皇統を厚くする方策を講じたい。
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2021年12月23日付産経新聞【主張】を転載しています